永田宙郷/株式会社乃村工藝社空間の総合プロデュース企業
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「空間 x 素材」の新たな可能性を探る旅
さまざまな背景をもった方に、越前市の風土を感じてもらう旅。今回越前市をめぐるのは、空間の企画設計、デザイン、展示からプロモーションまで幅広く手掛ける乃村工藝社のみなさん。全国各地のものづくりに精通するプランナーの永田宙郷(ながたおきさと)さんの案内のもと、越前市を中心に福井のものづくりをたどる旅に出かけました。
永田宙郷さん
TIMELESS 代表、プランニングディレクター。アート・伝統工芸の分野から、企業の新規事業開発まで、幅広い分野において課題を解決するプランデザインやデザインディレクションを中心とした活動を行う。
乃村工藝社
内装・展示の企画からデザイン・設計、制作・施工、運営管理までを手掛ける空間の総合プロデュース企業。クリエイターやものづくりのスペシャリストによって多種多様な集客空間づくりに取り組んでいる。
さまざまなものづくりが息づく越前市。最近では工芸品の枠を超え、インテリアや建材として住宅や店舗、ホテルなどの商業空間に使われるシーンも増えています。今回は空間のスペシャリストたちが越前市を中心に福井のものづくりの現場を訪れ、その可能性を探っていきます。
やってきたのは、越前市今立地区。越前市の伝統工芸・越前和紙の産地です。
和紙は丈夫で、その耐久性は1000年以上の保存にも耐えるといわれているほど。独特の風合いと手触りは世界中から注目されています。
最初に訪れたのは岩野平三郎製紙所。
「ここは手漉き和紙としては日本でも最大規模を誇る工房で、芸術家愛用の和紙や四人もしくは六人一組で漉く大判の和紙をつくることができる数少ない製紙所なんです」と案内役の永田さん。まずは、工場を見学しながら越前和紙ができるまでを見学しました。
和紙の原料は主に、楮(こうぞ)、雁皮(がんぴ)、三椏(みつまた)という植物。いずれも繊維が長くて強靱ですが、それぞれに優れた特質があり、紙の種類によって使う原料が異なります。
刈り取ったものは釜で蒸して、皮を剥ぎ、表面の黒い部分を削り取って白皮にしていきます。この状態でも白く美しいですが、ここからさらに皮を水にさらし、細かい塵を取り除いていきます。
一つひとつ手作業で白皮をほぐしながら塵を見つけては取り、また見つけては取り……の繰り返し。気の遠くなるような細やかな作業を経て紙の原料となっていきます。
塵を取った和紙の原料を細かく砕いて繊維状にし、とろみのある植物性粘液「ねり」を混ぜ合わせて、いよいよ紙漉きです。
原料を漉き桁に汲み、縦横に動かす動作を繰り返しながら、職人たちの息ぴったりな作業で、次々と大きな和紙が漉きあがっていきます。
この後は圧搾して水分を絞り、乾燥へ。一枚ずつ銀杏の板に貼り付けて暖かい部屋で室乾燥(むろかんそう)にかけていきます。
銀杏を使うのは、天日で干してもくるいが少ないため。木自体にも節が少なくなめらかな仕上がりになるので、多くの越前和紙の工房で使われています。温度を高くするとしっかり乾燥する前にめくれ上がる可能性があるので、時間をかけてゆっくりと乾燥させるのも大事なポイント。
二人がかりで乾いた和紙を板から剥がし、検品を経てようやく完成です。
和紙漉きの工程を見学した後は、文化財にも指定されている主屋へ。
180年ほどの歴史を持つ岩野平三郎製紙所では、越前和紙古来の紙漉き模様など初代岩野平三郎からの一子相伝の技法が継承されています。
たとえばこちらの「打雲」もそのひとつ。紙の天地に雲がたなびいたように藍や紫の繊維を波のように漉いたもので、平安時代から続いている古典的かつ伝統的な技法です。
打雲以外にもさまざまな技法の和紙を手に取りながら、職人さんの話に聞き入る乃村工藝社のみなさん。多様な表現ができる越前和紙の奥深さを感じたのでした。
次にやってきたのは1919年に創業の「五十嵐製紙」。
襖や壁紙を中心に、大判紙から小物まで幅広い和紙を製作する老舗和紙工房で、手漉き大判創作和紙は、ホテルや飲食店、公共施設、文化施設などさまざまな空間で採用されています。
4代目の五十嵐匡美(いがらしまさみ)さん(写真左)の案内で、工房を回っていきます。手漉きだけでなく、機械漉きも行う五十嵐製紙。湯気が立つ大きな機械が動く様子は迫力満点です。
五十嵐製紙では著名アーティストのオーダー用紙を手がけることも多く、その技術力が高く評価されています。まるで油絵のような作品も、すべて和紙の原料でつくられたもの。和紙でありながら3次元の表現も可能なのです。
そんな五十嵐製紙が数年前から取り組んでいるプロジェクトが食物を使った和紙「Food Paper」。野菜や果物などの食べ物から作られた和紙で、紙文具を中心とした紙製品を展開しています。
和紙の原料である楮や三椏、雁皮は、昔は山や野原で自生していましたが、どれも年々、収穫量が減っています。なかには自分たちで楮を自家栽培して原料を確保している工房もあるほど。
こうした原料不足の問題をなんとかできないかと、五十嵐さんの次男が小学4年生の時から5年間にわたり、バナナの皮や食べた後のピーナッツの皮、枝豆など、身近な食べ物を使って紙を作ってみては、実験結果をファイルにまとめていたといいます。
この自由研究がヒントとなり、伝統的な手漉き和紙の技術と食べ物という新たな材料を掛け合わせることで「Food Paper」は生まれました。
「いろんな食べ物を組み合わせると、色味や風合いが変わって面白いよね。廃棄される野菜や果物も丸ごと使えるので、フードロスを減らす取り組みとしても期待できそう」と永田さん。
「サステナブルなデザインを求められている案件も多いので、FoodPaperのようなその土地らしいストーリーのあるプロダクトはさまざまな場所で活用できそう」と乃村工藝社のみなさんもFood Paperの可能性について熱く語っていました。
次の目的地は「長田(おさだ)製紙所」です。1909年創業の長田製紙所は全国でも珍しい手漉きの襖紙を専業として製作。無地の襖紙から時代とともにデザイン性を高め、手漉きでありながらさまざまな柄を生み出しています。
繊細な模様やグラデーションもお手のもの。これまで日本橋高島屋エントランスや、フランス「GUERLAIN」のショーウインドウ、大阪インターコンチネンタルホテルのエントランス、成田空港など、国内のさまざまな場所で長田製紙所のインテリア和紙が取り入れられています。
さらに、当主の長田和也さんが編み出したのは、粘り気を持たせた原料を空中に飛ばして和紙に柄を載せる「飛龍」という技法。
レース生地のような模様も、まるで絵を描くように仕上げていきます。
これらの和紙はタペストリーやランプシェードといった装飾和紙に使われることも多いそう。一枚一枚職人の手で生み出される和紙は唯一無二のものばかり。
「この和紙ならこんな空間に使えるかも!」と光に透かしてみたり、何枚か重ね合わせたり…。乃村工藝社のみなさんも多種多様な和紙にインスピレーションを得たようです。
少しずつ日が落ち始めましたが、まだまだリサーチは続きます。
次に訪れたのは長田製紙所から歩いて数分の場所にある「山次製紙所」。明治元年創業した、手漉き美術小間紙(こまがみ)の製紙所です。
美術小間紙とは日本の和小物で使われる、昔ながらの装飾を施した和紙の総称。 古くから越前で漉かれている、色とりどりの和紙です。
「小間紙に欠かせないのが“ひっかけ”なんです」と教えてくれたのは、伝統工芸士の山下寛也さん(写真上)。
「ひっかけ」というのは、模様の輪郭をかたどった薄い金属製の金型に和紙の原料を"ひっかけ"て簀(す)に付着させ、それを地紙にかぶせて模様をつくる技法のこと。
塗り絵のように色をつけることも可能です。
簀に模様を転写してから、地紙に重ねて漉き合わせると、1枚の模様のついた紙の完成です。繊維をひっかけた金型から転写される模様はふわっと広がった繊維感と光沢がとても美しく、角度によってさまざまな表情を見せてくれるのも魅力です。
近年では海外向けへ退色しない和紙を開発したり、型押しの技法を用いてエッジのきいた模様を浮き立たせることを可能にした「浮紙」など、新しい技法の開発にも積極的に取り組んでいます。
浮紙は柄や色の数もたくさん! デザイナーとのコラボで生まれた柄もあり、セミオーダーも多いそう。浮紙を使った茶缶や名刺入れも人気です。
山次製紙所では紙漉き体験にも挑戦。職人のみなさんはいとも簡単に紙を漉いていますが、実際にやってみると均一に漉くのは至難の業。乃村工藝社のみなさんも、和紙づくりの面白さと同時に一朝一夕では習得できない職人の技を感じていました。
さまざまな和紙を漉く職人の工房を見学した後は、紙の加工に特化した工房へ。「清水紙工」では、漉いた後の和紙に加工を施すことで、さまざまな機能を持たせています。
代表の清水聡さんに案内してもらったのは、紙を揉むことで独自の風合いと耐久性をもたせた「揉み紙」の製造現場。パリッとした紙を機械に通したり、職人の手で揉んだりすることによって、まるでやわらかい布のように変化します。縦横ランダムに揉むか、一方向に揉むか、また揉み方の細かさにもバリエーションがあり、表情が異なるのも特徴です。
紙に透かしを入れたり、紙同士を貼り合わせたりなど清水紙工の技術は自由自在。撥水性や、抗菌作用も付与できます。
不燃・難燃の機能を付与した、燃えにくい紙は、建築基準法に基づく認定を取得。最近では壁紙など建築シーンに使われることも多いといいます。
最近では「和紙コンシェルジュ」として、クライアントのニーズに合う紙を選定したり、時には新しい紙を開発することもある清水さん。その取り組みのひとつが、清水さんが手に持っている「和紙グラブ」です。スポーツ用品メーカー「ミズノ」とのコラボで誕生したもので、その名の通り、革ではなくすべて和紙でできています。
グラブのパーツごとに最適な和紙を清水さんが選定。産地の職人を知り尽くすからこそ誕生したプロダクトです。実際に手にとってみると、革のようなやわらかさと丈夫さにびっくり!
文字を書く、包むだけではない紙の可能性と加工の妙を実感したのでした。
すっかり日も暮れ夜になりました。1日目の最後に訪れたのは、「杉原商店」。和紙の問屋として、産地の職人たちと連携しながら世界中に越前和紙の企画・販売を行っています。
代表の杉原吉直さんは「越前和紙のソムリエ」。今日さまざまな工房で見た和紙や職人の技術について振り返りながら、杉原さんに解説していただきました。
産地の特徴を尋ねられると、「越前和紙の職人は新しいことにチャレンジしようという気持ちの人が多い」と杉原さん。
「この産地では若い職人だけでなく、何百年も技術を受け継いでいる人間国宝ですら『ちょっとこんな紙を漉いてみたよ』と新しい紙を持ってきてくれるんです」
昔と同じことばかりやっていると成長はない。「とりあえず新しいことをやってみよう!」と挑戦する風土が、この産地には根付いています。
「カタログやサンプルで見るのと、実際に産地で作っている様子を見るのとはまったく違う」「デベロッパーや富裕層の顧客にも、この技術を見てもらいたい」「軽くて丈夫、形状や表現方法が豊か。時代の流れにもフィットしている素材だと思う」など、さまざまな感想を語る乃村工藝者のみなさん。
「これまでやったことがない分野でも、知恵を絞ってなんとかやってみようとするのが越前和紙の職人です。近年はインテリアでの需要も高く、海外からわざわざこの産地に訪れる方も増えつつあります。北陸新幹線も福井・敦賀まで延伸し、東京からのアクセスも便利になるので、ぜひ職人と直に接しながら可能性を広げてほしいと思います」
と、杉原さんも今後の期待を込めて話してくれました。
密度の濃い1日目が終わり、翌日は和紙以外の産地もめぐっていきます。この日、最初にやってきたのは越前市にある「越前セラミカ」。里山に囲まれた広い工場では、北陸の建物に欠かせない「越前瓦」を作っています。
越前瓦とは、越前エリアで作られる伝統の瓦。江戸時代頃から一般に使われるようになり、北前船によって東北、北海道にも広がりました。
越前瓦の特徴はなんといっても耐寒性に優れていること。北陸の厳しい気候に対応する為、独自の技術を磨いてきました。1200℃前後の高温で還元焼成することにより、吸水率が低く、重い雪質にも耐える強度を実現。その強度は、JIS規格が定めた基準の倍近い数値を誇ります。
学校の体育館ほどの広い倉庫にはさまざまな種類の粘土が山のように積み上げられています。粘土は大きなショベルカーで運ばれ、越前瓦に適した独自のブレンドで混練していきます。
混ぜ合わせた粘土は瓦のかたちにプレスして成形。大きなベルトコンベアで次々と瓦が運ばれていく様子は圧巻です!
さらに水分を抜くためにしばらく乾燥させた後に素焼きし、釉薬をつけて焼成。
長いレーンになっている釜の最高温度は1200度以上。「還元焼成法」と呼ばれる方法で、ゆっくりじっくりと瓦を焼き上げます。
焼き上がった瓦はおなじみの「銀鼠」色に。落ち着いた色合いは自然にもなじみます。越前セラミカでは製造から販売、屋根工事まで行う一貫体制。一般住宅はもちろん、寺社仏閣や公共施設、文化財などあらゆる福井の建物を瓦で彩っています。
さらに越前セラミカでは商品開発も積極的に行っており、瓦の製造技術を活かしたタイルやレンガなどのエクステリア用の建材の製造・販売も行っています。耐久性だけでなくデザイン性も兼ね備えたタイルは、和洋問わずさまざまな空間にマッチ。
「瓦は伝統的で渋いイメージが先行していたが印象が変わりました」「モダンな空間にも取り入れられる。形状や組み方次第で面白い表現が多様にできそう」と感想を語ってくれた乃村工藝社のみなさん。越前セラミカさんと、今後につながるアイデアについて意見交換をしていました。
ここからは越前市をはなれ、福井のものづくりの現場をめぐっていきます。
越前市は越前和紙や越前打刃物、越前箪笥の産地がありますが、隣の鯖江市、越前町には越前漆器や越前焼といった伝統工芸品がつくられています。さらに「繊維」や「眼鏡」など合計7つもの地場産業が半径10キロメートル圏内に集積する国内でも非常に珍しいエリアとして知られています。
次にやってきたのは、越前漆器の産地、鯖江市河和田地区にある錦古里漆器店。
昭和元年に創業し、漆器のなかでもお膳や重箱などの「角物(かくもの)」の製造・販売・修理を手がけています。
工房にお邪魔すると、大小さまざまな漆器や漆製品が並び、奥では実際に作業している様子を見学することもできます。工房の茶色の壁もすべて漆塗りだそう。
3代目の錦古里正孝(きんこり まさたか)さんは職人歴約50年のベテラン。普段の生活で漆器を使う機会が減っているなか、錦古里さんは新しい漆塗りを模索しています。
「越前漆器は1500年ほどの歴史があります。しかし、さらに昔の縄文時代から、日本では装飾品や焼き物のヒビや穴を直すものに使っていたといわれています」と錦古里さん。
「奈良時代には建材として、建物の柱などに漆を塗ることが増えていきました。福井の敦賀市には気比神宮という神社がありますが、そこの鳥居も漆で塗り上げています。現在の感覚で言うと、漆はお椀や御膳のイメージが強いかもしれませんが、決してそれだけではなかったんですよ」
そして、「ぜひ注目してほしい」と永田さんがおすすめするのが、錦古里漆器店の敷地に併設された福井の伝統工芸品やオリジナル雑貨を扱うショップ「SAVA!STORE」のレジカウンター。「家具ボードなどに使われるMDFという素材に漆を塗ってレジカウンターを作ってみたんです。塗料は早く乾きますが、漆は乾くのに時間がかかるので、漆の吸い込み具合が場所によって異なる。5、6回ほど塗り重ねることで独特の風合いになり驚きました」
錦古里さんも「創業から90年以上の歴史のなかで転機となった」というほど、MDFと漆塗りの掛け合わせには新しい可能性を感じたといいます。
漆を吸い込む木の小口(断面)部分は、まるで縁取りをしたように濃い色に。漆を塗って丈夫になる上、経年変化による表情の変化も楽しめます。
「漆は水と空気をのぞけば、あらゆるものに塗ることができます」と錦古里さん。長い歴史を持つ漆と異素材を掛け合わせて、これからも漆の新しい表現を追求したいと意気込んでいました。
錦古里さんに話を伺った後は、「SAVA!STORE」を運営するデザイン事務所「TSUGI」の新山直広さんにも、越前や鯖江のものづくりを解説していただきました。
福井のグッドプロダクトが揃う店内では、錦古里さんが手がけた漆塗りのレジカウンターだけでなく、越前和紙も取り入れられています。
たとえば、店内の障子紙は越前和紙。デザイン事務所で捨ててしまうチラシやフライヤーを紙の原料に混ぜて越前和紙の職人が漉いたものです。
「ショップで買い物できるのはもちろん、さまざまな工芸が空間に取り入れられている実例が見れる場所としても興味深い」と、乃村工藝社のみなさんも店内のいろんな場所を記録していました。
今回の旅では、鯖江市からさらに北上し、福井市も巡りました。
繊維産地でもある福井県。カーテンを中心としたホームファッション商品の企画・製造・販売を行う株式会社カズマでは、創業から60年に及ぶ編みレースをはじめとした生地づくりや縫製、刺繍の技術でさまざまな商品を開発しています。
デザイナーとのコラボやリサイクル・アップサイクル素材の活用、自然素材を使ったものづくりなど、若手社員を中心とした社内プロジェクトも活発に行われているそう。
空間の装飾や「外から見えなくする」「空間を仕切る」といった従来のカーテンにとどまらない機能を備えた商品を開発し、屋内外で活用されています。
視察では幅広い機種が揃う工場や、バライティ豊かな多機能カーテンのギャラリーも見学。端材を活用したファブリックや刺繍の技術は新しい空間づくりのヒントになりそうです。
福井市の株式会社マーベルコーポレーションでは、独自開発の木材保存剤で、「耐久性」「環境性」「美観性」の3つの機能を持たせた天然木材「Marvel Wood」を紹介していただきました。
10年以上の歳月をかけて開発と改良を繰り返して産み出されたMarvel Woodは、スギやヒノキなどの国産材に木材防腐・防蟻薬剤が注入されており、木材の欠点であった低耐久性を克服。外構用部材として高い耐久性を誇る上、木の風合いを損なうこともありません。
公園などの公共工事に加え、京都「北野天満宮」のデッキや「京都御所の御池庭・御内庭」、さらに台湾の大学の外壁工事など、国内外でMarvel Woodは活用されています。
「地域産材を使うことが求められているなかで、劣化を防ぐことのできる加工は大変魅力的」と永田さん。「すぐにでも活用したい」「屋外でも木材を使用する際に自信をもって提案できる」と乃村工藝社のみなさんも、代表の小澤聖輔さん(写真左)と話が尽きない様子でした。
越前・福井の産地をめぐって
2日間、越前和紙の現場をめぐった永田さんと乃村工藝社のみなさん。今回の旅の感想をいくつかご紹介します。
「これまで個人で現地視察に行くことはありましたが、団体で視察することで議論が深まり、ビジネスのチャンスを非常に感じました。次回はこれらの素材を実際に生活の中で体験できるような場所にも訪れてみたいです」
「見学だけでなく、紙漉きや瓦割りなどの体験は印象に残る上、技術や品質の高さを実感できる機会になりました。制作プロセスをみることで、空間デザインを行うものにとってはインスピレーション得られるものが多くありました」
「ものづくりの過程を知ることで、新たな表現手法の考察や、顧客へのプレゼンテーションがしやすくなりました。ジャストアイディアですが、福井の各産業を広くピックアップしたプラットフォームをつくることで、県外や海外の方にも福井のものづくりを知ってもらえるタッチポイントが増えると思います」
「工房を訪れ、職人と語り、ものづくりを知れるのは、産地に来るからこそ体験できること」と永田さん。2日間めぐった越前・福井のものづくりとの出会いを通して、これまでになかった新しい素材の可能性を感じてもらえたようです。
帰りの車中でも、今回の旅を振り返りながら感想や今後の活用方法を語るみなさんの姿が印象的でした。